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心の故郷

新年早々、悲しい話を書くものじゃないかもしれませんが、新鮮な心の痛みが薄れてしまう前に記録しておこうかな…。

自分の地元の近所の住宅敷地内に、それはそれは立派な大木が生えていたんです。

子供の頃の自分にとって、それは近所にある巨大なクリスマスツリーのような存在。

敷地内は23区内の家にしては珍しいほど木や植物に囲まれていて、蔦の絡まった空き家も二件ほど何十年も放置されたまま、風景だけは絵本の世界の森屋敷のような風格がありました。

色んな巡り合わせで、数年前から再び地元の街に戻り住むことになり…子供の頃から変わらない大木の存在感と森屋敷の姿に何とも言えない郷愁を感じたものです。都内の住宅街にしては、木々が鬱蒼と茂っている環境のためか、キジバトの鳴き声もよく聴こえたんです。(駅や公園に良く居るドバトじゃないですよ!)子供の頃から良く聞き馴染んだ日常の生活音でした。

規則正しいリズムで鳴くキジバトの鳴き声も変わらずで、地元は前に住んでいた所よりも緑が多くて落ち着くな、癒されるなって、他人様の敷地内なのに少し誇らしくもあり。

しかし…!去年末からそんな森屋敷の解体工事がついに始まったんです。

立地も考えたら今まで空き家や敷地をずっと放置していたことの方が不思議で、なんで所有者は売るなり貸すなりしないのかな?なんて思ったりもしていましたが…。

そして。

ずっと馴染んできた当たり前の風景が、解体されるのはあっという間のことでした。

森屋敷はあっという間にただの更地に。

…そして鬱蒼とした木々も無くなり、キジバトの声も聴こえなくなった。

ただ大木だけは残されていたんです!

あれだけ立派な木だから、どうにか残してくれないかな…と淡い期待を抱き続けましたが、それも今日ついに伐採されてしまった。

自分の所有地じゃないし仕方のないことだけれど…。

きっと戦前はおろか、この辺りが⚪︎⚪︎村なんて呼ばれていた頃からずーっと生えていたであろう、そんな昔からこの土地を見続けてきたであろう大木が人間の手で斬り倒されてしまう瞬間は、なんかとんでもないことをしているような気分になってしまう。

それは個人の勝手な感傷なのかな… 。でも近所にもきっと同じく寂しさを感じる人はいるはずだ!

地元の人間じゃない旦那さんも少し寂しいみたいだもの(笑)

どんな出会いにも永遠は無くて、共に過ごした期間が長いほど別れは辛いもので。

別れの喪失感は何度重ねても、慣れることない心の痛みを伴いますね。慣れることもない、乗り越える訳でもない、人生の道中、度々訪れては時間の経過と共に薄れていく。ただそれの繰り返し…。

ただこれほど特定の木に大して感じた喪失感は初めてだったなあ…(T_T)

世代交代で、このように心の故郷だった風景はどんどん変わっていくのでしょう。諸行無常…どうにもならないことは沢山ある。

現在進行形で、大木を伐採するチェンソーの音が心を抉る、そんな昼下がりです。